開業に許認可が必要な業種、許認可の種類、会社設立時の注意点

開業に許認可が必要な業種、許認可の種類、会社設立時の注意点

「許認可」と聞いて何を思い浮かべますか?『認可保育園』や、飲食店に貼ってある『営業許可証』などは馴染み深いものだと思います。私たちの生活の中には「許認可」という意識がなくても、なんらかの形で「許認可」を受けていると考えても過言ではありません。「許認可」には五つの種類があります。

法律と行政手続きの専門家
行政書士 高柳麻紀

許認可の種類

①届出

都道府県への転入・転出については区役所窓口に書類を出しますよね。難しいことではありませんが、これも必要な『届出』です。転入・転出から14日以内など時期も決められています。結婚の婚姻届けを出すことも必要な『届出』です。
届出は行政庁に決められた書類を提出するだけの行為なので簡便と言えます。

 

②登録

届出された事柄を行政庁の名簿等に記載をすることです。

 

③許可

一般的に禁止されていることを、条件を満たした場合その行為を行えるように行政庁が認めることです。少しややこしい言い回しですが、『運転免許証』は、本来禁止されている運転という行為を運転免許を取ることで、車やバイクの運転をしていいですよ。という「許可」の一種です。

 

④認可

目的や条件がかなっているとして、行政庁がある行為や事柄を許すことです。「薬は認可が下りるまで時間がかかる」などと言いますよね。認可は行政が第三者の行為に同意を与えて認めることです。
法人設立の認可、保育所設立の認可、電車運賃やガス料金、電気料金の値上げなども認可申請が必要となります。

 

⑤免許

免許は、特定の資格を持った者に権利や地位を与えることを指します。免許というと「運転免許」を指すようなイメージですが、運転免許は「許可」に当たります。特定の資格ではありませんよね。個々の業種によって事前に特定の資格を持った者が行政に申請をし、営業を許されるといったことが「免許」に当たります。不動産取引業や、酒類販売業などは免許を得なければ事業開始ができません。

 

許認可は行政への届出や申請をし、許してもらったり認めてもらったりする行為です。

会社を設立して事業を始めるにあたって、事業内容によっては許認可が必要な業種が数多くあります。

許認可は官公庁や地方自治体から受けることになり、必要な許認可なしに事業を行うことはできません。

 

許認可が必要な業種

許認可が必要な業種の一部をまとめてみました。

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業種 手続区分 必要な許認可 窓口・管轄行政庁
理容・美容院 届出 理容所・美容所開設届 都道府県保健所
クリーニング店 届出 クリーニング所開設届 都道府県保健所
旅行業
(旅行商品の企画・販売)
登録 旅行業登録 都道府県・観光庁
旅行代理業
(旅行商品の販売)
登録 旅行業者代理業登録 都道府県
中古品販売
リサイクルショップ
許可 古物商許可 警察署
飲食店 許可 飲食店営業許可 都道府県保健所
酒類の販売 免許 酒類販売業免許 管轄税務署
建設業 許可 建設業許可 各地方整備局・国土交通省
運送業(タクシー業) 許可 一般常陽旅客自動車運送事業許可 各運輸局
運送業(トラック運送業) 許可 一般貨物自動車運送事業経営許可 各運輸局
運送業(軽トラック運送業) 届出 貨物軽自動車運送事業経営届出 各運輸局
自動車運転代行業 認定 自動車運転代行認定 警察署
賃金業 登録 賃金業登録 地方財務局・都道府県
パブ・クラブ
ゲームセンター・パチンコ店
などの風俗営業
許可 風俗営業許可 警察署
有料駐車場開設 条件により届出必要 市町村
質屋 許可 質屋営業許可 警察署
保育所の開設 認可 認可保育所 市町村
保育所の開設 届出 無認可保育所 市町村
病院・診療所 許可 病院・診療所開設許可 都道府県保健所
不動産業 免許 宅地建物取引業免許 都道府県・国土交通省
警備業 認定 警備業認定 警察署
医薬品販売 許可 薬局開設許可

店舗販売業許可

都道府県保健所
産業廃棄物処理業 許可 産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物処分業許可

都道府県
探偵業 届出 探偵業の届出 警察署
旅館・ホテル 許可 旅館業営業許可 都道府県保健所

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会社設立と許認可 注意点

許認可の種類についてはお話しましたが、①から⑤の許認可は順に難しさの順番にもなっています。

届出は行政庁に提出すれば足りるもの、登録は行政庁の記録に登録されれば足りるものです。しかし、許可、認可となると簡単な書類提出で済むものばかりではありません。また、個人事業主として取った許認可を法人成りをした場合、申請をし直す必要のあるものもあります。

どう違うのか。。わかりにくいですね。

 

【許可】
許すこと。願いごとなどを聞きとどけること。
法令で一般的には禁止されている行為について、特定の場合にこれを解除し、適法にその行為ができるようにする行政行為。

【認可】
よしと認めて許すこと。
公の機関が、法人・私人のした行為に同意を与えて、その法律上の効力を完成させる行政処分。

『日本国語大辞典』より

 

【許可】・・一般的には許すこと、願いを聞きとどけることとあります。例えば「医師に頼んで外泊の許可をもらった」と使っても、「医師に頼んで外泊の認可をもらった」とは使いませんね。

法的には一般的に禁止されている行為について、一定条件のもとこれを許すことを指します。自動車の「運転免許証」は免許免許と言いますが、免許証を持つまで運転が禁止されていますが、免許証を取得し、携帯することで「運転していいですよ」という許可を与えられているので、運転免許は「許可」に分類されます。

 

【認可】・・よしと認めて許すこと。許可も近い意味ですが、法人の設立や事業の開始に対しては行政庁が、ある事柄を認めて許すことをいいます。具体的には、法人設立の認可(NPO法人の設立には認可が必要)、保育所設立の認可、電車の運賃、電気・ガス料金の値上げの認可などがあります。「認可」という言葉を個人間でプライベートに使うことはありませんよね。

 

そして、許可と認可の違いとして注意しなければいけない点があります。ここでも例を挙げてみます。

「無許可営業をしていた」「無免許運転でつかまった」許可が必要な行為に対し、許可を得ていなかったり、無免許運転には『罰則』があります。営業は禁止されますし、無免許運転は罰金を払わなければなりません。

認可はどうでしょう。「認可保育園に入りたかったけど認可外保育園にしか入れなかった」認可外(無認可)保育園に罰則は課されません。保育園の広さや保育士の数など一部の基準を満たすことができず、無認可の保育園があっても、運営禁止や処罰の対象とはなりません。

 

会社を設立し事業を行うために、業種によって「許可」なのか「認可」なのか、必要な「届出」はなにか、特定の資格である「免許」が必要なのか、個人事業主から法人成りするとき、今まで有していた許認可はどうなるのか、しっかり調べて体制を整える必要があります。提出書類や、許認可の申請は紙一枚で済むということはまずありません。法令に沿った行政庁のマニュアルを読んだり、必要提出書類は驚くほどの数が必要になります。自分で設立できるかな。。と取り掛かったものの、思いもよらず修正に時間がかかったり、何度も行政庁に通うことにもなりかねません。

当サイトでは、こういった時間のロスをなくすべくお手伝いができます。また後々盲点になっていて困ってしまうことなどもアドバイスさせていただけます。ぜひ設立や許認可のプロに相談することをおすすめします。

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