株式会社の作り方・会社設立・メリット・デメリット
株式会社設立までの流れ
a.会社の基本事項を決める
- 会社の商号・・・最低限、会社所在地に同じ商号の会社がないか調べる。必ず「株式会社」を入れる
- 本店住所・・・東京都であれば区名、政令都市では市と区まで。番地まで入れる必要はありません
- 事業の目的・・・将来行う可能性がある事業もいれておく
- 資本金・・・1円から設立可能だが、信用面で懸念材料になるので注意
- 事業年度・・・自由に決められます
- 取締役・・・代表取締役を決める。取締役が1人であれば自動的にその人が代表取締役になる
- 取締役会・・・設置か非設置か
- 監査役・・・設置か非設置か。取締役会を設置しなければ監査役は不要
- 取締役(監査役)の任期・・・取締役は原則2年。監査役は原則4年
- 出資者(発起人)の出資金、持ち株数
- 発行可能株式数
- 設立時株数
- 株式譲渡制限・・・ある場合譲渡承認機関:株主総会 or 代表取締役
- 公告方法・・・官報 or 電子公告 or 新聞
- 設立予定日・・・法務局にて登記する日付けが会社設立日になる
b.定款の作成
定款は会社の中のルールを決めた重要な規則集になります。会社を設立するにあたって必ず作成しなければなりません。会社法では、法律に反しない限り、それぞれの会社が自由に定款を作成してよいことになっています。
主に以下の3つの記載種類があります。
①記載しないと無効(定款として認められない)になる「絶対的記載事項」
- 会社の事業目的
- 商号(会社名)
- 本店の所在地・・・東京なら区まで、政令都市は市までの記載
- 出資額
- 発起人(出資者)の氏名・住所
②ルールとして決めたら記載しなければならない「相対的記載事項」
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 株主総会の招集通知を出す期間の短縮・・・通常2週間前までに招集通知を出すが、短縮することができる
- 役員の任期の伸長・・・通常取締役の任期は2年だが、株式譲渡制限を設けている会社は10年まで伸長可能
- 株券発行の定め・・・株券の発行はしないのが原則だが、発行する場合定款に記載しなければならない
- 現物出資・・・現金以外の出資でも株式を得ることができる
- 財産引受・・・会社は発起人から事業用の財産を譲り受ける契約を結ぶことができる
③記載するかどうか自由である「任意的記載事項」
- 事業年度
- 取締役等役員の人数
- 株主総会の議長
- 定時株主総会の招集時期・・・定時株主総会は決算後一定の時期に招集しなければならない
- 基準日・・・一定の日(基準日)を定めて、その日の時点で株主名簿に記録されている株主が権利を行使できる
c.公証人役場で定款の認証を受ける
定款の作成が終了すると、「公証役場」で認証を受ける必要があります。
d.登記に必要な書類の作成
登記に必要な申請方式・申請人・記載事項・添付書面については
- 会社法(平成17年法律第86号)
- 会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)
- 商業登記法(昭和38年法律第125号)
- 商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)
といった法律で定められています。
株式会社設立のメリット
信用性が高い
知人などから「株式会社を作ったんだ」と聞いたらどう思うでしょう。まず「会社の社長!すごいね!」と思いませんか?肩書に株式会社・代表取締役社長と付くことで取引先の印象が変わるのも事実です。
株式会社は認知度が高いため安心感といった意味でも信用度が高まります。これは人材採用において優秀な人材の確保や融資を受ける時の審査といった場面でも強みになるでしょう。
株を発行することで外部からの出資が得られる
株式を発行することで、株を買った人は株主となり配当金を受け取る権利を持ちます。ただし経営に関わることはないので気軽に投資しやすいと言えます。株式会社にとっては資金調達として大きなメリットとなるでしょう。
節税面でのメリット
株式会社を設立すると、経営者自身の給与を経費化したり、経費にできる費用の種類が増えることで、個人事業主と比べて経費計上できる幅が広がります。
また、株式会社ですと法人税、個人事業主では所得税が課税されます。法人税は利益が増えても原則一定税率なのに対して、所得税は利益が大きくなれば税率も大きくなります。欠損金(赤字)を10年繰り越せる、旅費規程を設けるなど法人にのみ認められている節税項目がある点でも有利になります。
決算時期を自由に決められる
個人事業主の事業年度は1月~12月と決められていますが、株式会社では決算日を自由に設定することができます。繁忙期を見据えて決算日を決めることで、繁忙期と決算でてんやわんやになる・・・といったことが避けられます。
株式会社設立のデメリット
設立にかかる時間とコスト
個人事業主は税務署に開業届を提出するだけで事業を始められますが、株式会社を設立するには最低でもa.からd.の行程分の時間がかかります。
また、定款認証、登録免許税、公告の費用などで最低でも25万円程度費用がかかります。
社会保険への加入
社長が1人の会社であっても、健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられています。
社会保険の保険料は個人事業主の国民健康保険、国民年金と比べると高額になります。
決算公告の義務
株式会社は決算の内容を公告する義務があります。公告にはいくつか種類がありますが、一般的に利用しやすいとされる「官報」を利用しても8万円程度の費用がかかります。
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